新米の季節は、うなぎの季節でもあります

新米の季節は、うなぎの季節でもあります

十月、新米の季節です。 土用の丑の日の印象が強いせいか、うなぎは夏のもの、と思われがちです。けれど調べてみると、秋の新米にうなぎを合わせるのは、なかなか理にかなった食べ方でした。

今回は、新米とうなぎの、ちょっと意外な話をまとめました。

「新米」と書けるのは、年内だけ

新米という言葉には、きちんとした決まりがあります。

お米の袋に「新米」と書いてよいのは、その年にとれたお米を、その年の十二月三十一日までに精米して袋に詰めたものだけです。食品表示の基準で、そう決められています。

原料玄米が生産された当該年の12月31日までに精白され、容器包装に入れられた精米

農林水産省「新米の表示の定義を教えてください。」より

年が明ければ、同じお米でも、もう「新米」とは書けません。新米は、きっちり年内かぎりの呼び名です。

「新米は水を控えめに」は、昔の話

新米は水分が多いから、炊くときは水を少し控えめに。そう教わった方も多いと思います。

ところが今は、事情が少し違います。お米は出荷の前に乾かして水分をそろえてあり、新米も古米も、水分はおよそ十五パーセント。一年を通して、水分の量が大きく変わらないようにしてあるそうです。

ただ、新米がやわらかく、ふっくら炊き上がりやすいのは本当です。まずはいつもの水加減で炊いて、やわらかすぎると感じたら少しずつ減らす。これが、いまの答えのようです。

天然のうなぎも、秋がいちばん

ここから、うなぎの話です。

川や湖で何年も暮らした天然のうなぎは、秋になると、海へ向かって川を下りはじめます。はるか南の海で卵を産むためです。これを「下りうなぎ」と呼びます。

下りうなぎは、体がいぶしたような銀色に変わり、胸びれが黒くなります。そのため「銀うなぎ」とも呼ばれます。

海へ出たうなぎは、寝ずに、食べずに泳いで、生まれた海へ帰っていくと考えられています。長い旅の前ですから、体にはたっぷりと蓄えがある。天然のうなぎは秋から冬のはじめが旬と言われるのは、このためです。

もっとも、いまその下りうなぎを口にする機会は、ほとんどありません。卵を産みに向かう親うなぎを守るため、秋から冬にかけて、うなぎを獲ることを禁じている県があるからです。鹿児島県は十月から十二月まで、宮崎県と熊本県は十月から翌年の三月まで(大きさの決まりは、県ごとに違います)。

新米の実る季節は、天然のうなぎがいちばん美味しいとされる季節でもありました。いまは、うなぎを守る季節になっています。

では、なぜ夏に食べるのか

夏にうなぎ、の歴史は古く、万葉集までさかのぼります。

石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに
よしといふものぞ 鰻とり食せ

大伴家持『万葉集』巻十六より

どれだけ食べても痩せていた友人を、からかって詠んだ歌です。千二百年以上も前に、うなぎはもう夏痩せに効くものとされていました。

土用の丑の日にうなぎを食べる習わしは、平賀源内が考えた、とよく言われます。夏にうなぎが売れずに困っていた店に、「本日土用丑の日」と書いて貼らせた、という話です。

ただ、これを裏づける当時の記録は、見つかっていません。土用の丑の日のうなぎが出てくる本は、どれも源内が亡くなったあとに書かれたものだそうです。夏のうなぎは、夏痩せを防ぐ昔からの知恵に、いつのころからか土用の丑の日が重なって、根づいた習わしのようです。

池で育ったうなぎは、季節を選ばない

嘉門が焼いているのは、国産の養殖うなぎです。

養殖のうなぎは池で育てるので、天然ほど季節に左右されず、一年を通して味が安定していると言われます。うなぎのほうは、夏でも秋でも、いつもの味です。

秋に変わるのは、
うなぎではなく、ご飯のほう。

だから、うなぎを食べるなら、ご飯がいちばん美味しい季節に。新米の秋は、うなぎにとっても、いちばんの食べどきと言えそうです。

嘉門のご飯は、郡上のコシヒカリ

嘉門のうな重に使っているのは、郡上の米農家、木嶋勘逸さんが育てたコシヒカリです。

水に浸ける時間は季節で変えていて、夏は三十分、冬は六十分以上。強い炭火で焼いたうなぎに負けない、一粒ずつ立ったご飯を炊くためです。冷凍でお届けしているうな重のご飯も、この米で炊いています。

ご家庭でなら、話はもっと簡単です。炊きたての新米に、温めた蒲焼きを一枚。付属のたれを少し回しかけて、お好みで山椒をひと振り。それだけで、いつもの晩ごはんが少し特別になります。

蒲焼きは、凍ったまま温めてください。解凍はいりません。温め方は、こちらにまとめています。

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冷凍うなぎの温め方。まず、解凍しないでください。

年が明ければ、もう新米とは呼べません。新米と呼べるうちに、一度どうぞ。

嘉

嘉門は岐阜・郡上大和で、蒸さずに炭火で直に焼く地焼きを守っています。ご注文を受けてから一尾ずつ焼いて、焼きたての香ばしさのままお届けしています。

郡上へお越しの折には、焼きたてを座敷でもどうぞ。

嘉門のうなぎを見る
地焼きうなぎ 嘉門
岐阜県郡上市大和町徳永164番地2
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