うなぎの焼き方は、決めていません
だいたい五、六回かな。
決まってないのが本音。
嘉門の大将
決まった手順がないのなら、焼き場で大将は、何を見て、何を決めているのか。今回は、嘉門の焼き場の中を少しだけご案内します。
まず、皮から焼く
串を打ったうなぎは、皮から炭の上にのせます。そこから返しながら焼いていきます。
返す回数は、およそ五、六回。けれど、その回数を目当てに焼いているわけではありません。返すたびに焼き色、におい、表面の具合を確かめて、次にどう焼くかを決めています。
その中でも、大将がいちばんに頼るのは焼き色です。焼けたかどうかは、最後は目で決めます。
焼き方は、決めていない。
うなぎを見て、決める。
うちわは、炭のためにあおぐ
うなぎ屋の焼き場といえば、うちわです。立ちのぼる煙を払って、うなぎに煙の匂いを付けないためにあおぐ、とも言われます。
嘉門の大将があおぐのは、炭の温度を上げるためです。風を送れば炭に空気が入り、赤みが増して、火がぐっと強くなります。
炭には、ガスのようなつまみがありません。火を強めたいときに回すものがない。その代わりが、このうちわです。
たれは、一度だけ
蒲焼きには、たれにくぐらせては焼き、またくぐらせては焼き、と重ねていく作り方もあります。嘉門は、たれに漬けるのは一度だけです。
その代わり、たれの前にひと手間かけています。みりんを塗っておくのです。みりんを塗ると、たれのノリがよくなり、皮目のパリッとした感じが出ます。一度のたれで、きちんと決まるための下ごしらえです。
たれで、ごまかさない。
嘉門の大将
たれを重ねれば、味も照りも足せます。だからこそ、焼きの足りないところまで、たれで覆えてしまう。一度漬けにしているのは、焼きそのもので勝負するためです。
同じ焼き方は、二度とない
同じうなぎは、一尾としていません。太さも、脂の乗り方も、一尾ずつ違います。炭の火も、熾ってから落ちるまで、刻々と強さが変わります。
だから大将は、焼き方をいつも変えています。昨日うまく焼けたやり方が、今日のうなぎに合うとはかぎりません。
うなぎの仕事は「焼き一生」とも言われます。手順を覚えれば済む仕事なら、一生はかかりません。
焼きの極意を、聞いてみました
最後に、焼きの極意をひとことで、とお願いしました。
うなぎを見て、
五感を研ぎ澄ませて、
いちばん旨い最高到達点を
見極める。
嘉門の大将
最高到達点とは、焼きが足りなければ届かず、焼きすぎれば通り過ぎてしまう、その一点のこと。嘉門の焼き場では、その一点を一尾ずつ探しています。
お取り寄せのうなぎも、同じ焼き場で、ご注文を受けてから一尾ずつ焼いています。見極めたその一点を、急速冷凍で閉じ込めてお届けしています。
嘉門は岐阜・郡上大和で、蒸さずに炭火で直に焼く地焼きを守っています。ご注文を受けてから一尾ずつ焼いて、焼きたての香ばしさのままお届けしています。
郡上へお越しの折には、焼きたてを座敷でもどうぞ。
嘉門のうなぎを見る岐阜県郡上市大和町徳永164番地2